暁杜

るろうに剣心 蒼紫巴 蒼操 小説ブログです。

御影華

◆あとがき◆

今回、まずあやまらなければならないことがあります。 最初の登場人物紹介であげた、翁の出番をまったくつくれなかったこと。 他にもたくさんあるでしょうが、まずこれは明らかに私の力不足です。どうもすいません、翁の出番がなくなってしまって。翁はもち…

散華 四

京に上ってから、巴は日記を付け出した。 ひとつは任務のため、もうひとつは自分の気持ちを見つめなおすためであった。 だがしかし、巴は御庭番衆のことや、蒼紫のことについては何ひとつ書かなかった。 いつかこの日記を、抜刀斎が見るかも知れない・・・・…

散華 三

―――操。 その光景は、蒼紫の中のある部分に火をつけたのだった。 幼い操に会っていたあの時、すでに何人かは知らぬが、監察の目を免れ得なかったとは――――。 もちろん、目の前にぶら下げられているこの操の死体は、本物ではない。 外法の忍術をもって、何者か…

散華 二

蒼紫は馬から降りると、泥炭地の様子をうかがった。 ―――十絶の陣。御頭のいるところまで、十数人の盾がある。 蒼紫は小太刀をかまえた。 待つこと数間。 まず、彼方から鎖釜が飛んできた。 「お命、頂戴。」 鎖釜を振りまわしている忍びが言った。 ――これは…

散華 一

「するとやはり蒼紫は、あの女を抱かなかったか。」 闇の武の辰巳は、中条からの報告を聞いていた。 辰巳は水ギセルをふかしている。 中条は言った。 「まあそういう男だということですぜ。据え膳を断るなんざ、そうそうできる事じゃねぇとは思いますがね。…

仇花 四

巴はゆっくりと目を開いた。 あのお堂から、自分が運ばれ、日本間の布団に寝かされていることに巴は気づいた。 ―――私は一体・・・・・・。 巴は全身が疲労していて、身動きするのにも痛みが生じることに気がついた。 あの妙な儀式のせいだとわかっている。 ―…

仇花 三

それから約三日後。 中条の言葉にあった通り、御庭番衆は秘密裏の会合を開いていた。 それは江戸城の武家屋敷の中に建てられている、秘密の集会所にて行われた。 議題のひとつは次期御頭の選出について、もうひとつは巴の処遇についてである。 会合には幕府…

仇花 二

その日の昼下がり、巴は薪を離れから台所へ移動するのに、一人で運んでいた。 何度目かの往復で、積まれた薪の山がなくなった頃、その男は現れた。 「よう。」 築地塀によりかかるようにして、薪を持った巴の前に、黒装束の男が立ちはだかった 目だけが覆面…

仇花 一

空に灰色の雲がたちこめる湖畔を、二頭の馬が駆けていた。 先を行く馬には、美少女が乗っていた。少女は長い髪を頭の上で二つに分けていた。 真田忍群を統括する洩矢御沙薙(もりやみさなぎ)だ。 その顔には、美しいが、ある種の冷たさが同居していた。 彼…

元治元年春 四

巴は御庭番衆預かりとなったが、当面はまだ、預かり置きの状態であった。 巴が危惧したようなことは、当座の間はなかったのである。 ただ、九ノ一としての簡単な心得、あまりしゃべらないこと、行った家屋をよく観察することなど、の訓練とも呼べないほどの…

元治元年春 三

雪代巴は、江戸東町奉行所の門の前まで来て、弟の縁に言った。 「ここから先は私一人で行きます。おまえは外で待っていなさい。」 「ねーちゃん・・・・。」 縁は不服そうな顔をしたが、巴に従った。縁は言った。 「清里さんの仇を討つんだろ、ねーちゃん。…

元治元年春 二

「母上、母上。」 蒼紫は夢を見ていた。 それはまだ幼い日の自分―――無力だった頃の自分だ。 必死で少年の日の蒼紫は木戸をたたいている。 中には母がいるはずなのだ。 母が―――死んだ父とは別の男たちと。 蒼紫はそれを認めたくないのだった。 何故病弱な母が…

元治元年春 一

雪が舞っていた。 降りしきる雪の道に、紅い花びらが点々と続いていた。 花びらは手からこぼれ落ち、やがて途切れた。 青年は暗い瞳で、一軒のこじんまりとした武家屋敷を眺めていた。 かすかに、彼は心の中でその者の名を呼んだ。 ―――出ておいで、そこから……